瓔珞迷<エイラク・ミイ>

瓔珞<エイラク>ファンの自己満足メモです。

『瓔珞』第37話・懐かしき長春宮

 

要点・見どころ

1.瓔珞、長春宮に戻る 2.爾晴の本性

 

あらすじ

前半・・・乾隆帝から仕えるよう強引に迫られた瓔珞だったが、なんとか言葉巧みにそれを回避した。そして長春宮に戻ることが許されると、すぐさま皇后の元へ走った。重傷を負って歩くことすら叶わない皇后は、もはや長春宮は衰退していく運命だと絶望し、巻き込まないために瓔珞を紫禁城から出そうとした。しかし、瓔珞が実の姉にも等しい皇后を見捨てるはずもなく、明玉とともに皇后の再起のために力を尽くすことを誓うのだった。瓔珞のおかげで皇后は活力を取り戻すが、そこへ純妃ご懐妊の知らせが届く。

後半・・・皇后が塞ぎこんでいる間、乾隆帝の寵愛を奪った純妃。しかし皇后は嫉妬もせず、瓔珞たちの支えを頼りにひたすら再び歩くための鍛錬を続けた。長い長い時間がかかったが、皇后はついに歩けるようになった。その吉報に、政務で忙しくしていた傅恒も長春宮を訪れる。そこで傅恒は皇后から、爾晴が寂しい思いをしていると忠告を受ける。瓔珞が未練を残していない様子を見て傅恒も思い改め、かんざしを土産に帰宅するが、そこに待ち受けていたのは嫉妬に狂って使用人を拷問している爾晴だった。



登場人物

魏瓔珞
 訳が分からないまま美しい衣に着替えさせらた挙句、乾隆帝に出くわしてとっさに目の前で着替えようとした。我に返って思いとどまるも乾隆帝に側室になるように迫られ、あくまで皇后に仕えたいと主張して拒んだ。強引に押し倒されても、乾隆帝の「嫌がられるほど楽しい」という言葉を逆手に取り、本当はずっと見初められたいと思っていたと嘘をついて興を削いで回避した。ようやく長春宮に戻ることを許され、改めて急いで着替えて皇后の元へ走った。
 これ以上、後宮の争いに巻き込まれないよう皇后から紫禁城を出るように促されるも、赤子の頃に父に捨てられた過去を明かし、生家には帰りたくないと訴えた。さらに、自分を拾って育ててくれた実の姉と皇后を重ね、たとえ二度と歩けないとしても杖となって皇后に一生仕えると語り、明玉と三人で抱き合って涙を流した。
 純妃懐妊の報に対し、激怒する明玉とは裏腹に特に関心を示さなかった。皇后にもまだ子を産むチャンスはあると明玉を諭し、ふたりで皇后の歩く鍛錬を支えた。皇后があきらめようとしても、お母上や陛下もみんな心配していると励まし、長い時間をかけて皇后がひとりで歩けるようになると感激して涙を流した。
 久しぶりに傅恒に再会するも、未練を残している素振りをまったく見せず淡々と接した。明玉に悲しくないのかと尋ねられると、生きるだけで必死な被災民(袁春望?)をたとえにあげ、「私のような出自には、恋をする余裕なんてない」と笑ってみせた。

 

徳勝
 養心殿から出てきた瓔珞に駆け寄り、乾隆帝を喜ばせるため美しい衣を選んであげたのだから感謝してくれとからかった。
 乾隆帝から純妃への贈り物を届けに行く途中、明玉に呼び止められ、純妃の懐妊を知らせた。

 

明玉
 長春宮に戻ってきた瓔珞の必死さに同情し、扉を開けて彼女を受け入れるよう皇后を説得した。瓔珞が何があっても一生皇后のそばにいると誓うと、自分も同じ気持ちだと三人でかたく抱き合った。
 大量の贈り物を運ぶ徳勝を呼び止め、それらが純妃の懐妊祝いだと知る。皇后と懇意にしていたのに懐妊を隠していたと激怒し、瓔珞に皇后にもまだ子を産むチャンスはあるとたしなめられた。その後、皇后がつらい鍛錬の末に歩けるようになると嬉しさのあまり号泣した。
 傅恒に再会して瓔珞が落ち込むのではと心配するも、逆にあしらわれてしまった。

 

富察皇后
 瓔珞が長春宮に戻ってきても、扉を閉じて受け入れようとしなかった。後宮の争いに瓔珞を巻き込んでしまったことに責任を感じ、あえて冷たく接して自分を見限らせて紫禁城から出そうとした。しかし、瓔珞が実の姉のように慕ってくれていることを知ると、その言葉に感動して彼女を抱きしめた。
 親友の純妃が懐妊したことを隠していたことに対し、怒ることも嫉妬することもなく、素直にめでたいことだと喜んだ。そして瓔珞と明玉に支えられながら、再び歩くために鍛錬に励んだ。諦めかけたこともあったが瓔珞の言葉に励まされ、長い時間をかけてようやくひとりで歩けるまでになった。
 傅恒が見舞いに来ると、彼が爾晴に寂しい思いをさせていることを注意し、瓔珞がすでに恋心を断ち切っているように、傅恒も未練を断ち切って妻を大切にすべきだと忠告した。

 

乾隆帝
 美しい衣をまとった瓔珞に苦笑ともとれる複雑な笑みを浮かべ、おしとやかな後宮の妃とは違う瓔珞を見初めたと打ち明けた。逃れようとする瓔珞を無理やり抱え上げ寝台に押し倒すも、彼女が貴人に封じて欲しいと言うと「欲深い女だ」と罵って追い出そうとした。しかし呼び止め、今後は長春宮の女官として皇后にしっかり仕えるよう命令し(皇后を元気づけるため?)、辛者庫からの解放の勅命を出した。
 懐妊した純妃に多くの贈り物を贈り、聡明な純妃の子ならば男児でも女児でも優秀だろうと期待を寄せた。純妃に琴の音色を聴かせてくれとねだられ、子のためならばと進んで演奏した。
 純妃を寵愛しつつも、実は皇后を見舞おうと何度も長春宮を訪れていた。しかし、皇后を傷つけてしまうのではを恐れ、顔を見ることなくこっそり帰っていた。

 

純妃
 皇后が臥せっている隙に寵愛を奪って懐妊したものの、すぐにそれを皇后に報告しなかった(後ろめたさ?)。体調不良のために報告が遅れたのだと謝罪にきた際、皇后から「信用している」と言われ、顔を強張らせた。
 乾隆帝が鐘粋宮にやってくるとお腹の子がとても元気であることを告げ、陛下の琴の音が聞きたいとねだった。

 

嫻貴妃
 純妃のもとを訪れるも、聞こえてくる琴の音色で乾隆帝がいることを察し、そのまま黙って踵を返した。皇后も倒れ純妃も身重の今こそ寵愛を奪う好機では?という珍児に対し、「まだその時ではない」と返した。
 清廉潔白な父に褒美をたかった太監を罰し、空いた副管事の地位に袁春望を昇格させた。

 

珍児
 皇后が倒れ、寵愛を独占している純妃が皇子を産めば出し抜かれてしまうと心配し、今のうちに対策すべきではと嫻貴妃に進言した。

 

富察傅謙 Fu qian
 傅恒の異母弟で、側室の子。祖父のもとで育てられたため、皇后の弟でありながらあまり存在を知られていない。科挙を首席で合格し詩を好んでいるようだが、武芸を重んじる清国ではあまり評価されないようだ。爾晴の姿を頻繁に盗み見ており、どうやら兄嫁に対して許されざる想いを抱いている様子。

 

杜鵑  Du juan
 爾晴のお付きの使用人。爾晴の命令で彼女の祖父に文を届けたり、夫人たちとの花見を準備したりしているが、そういった根回しを嫌う傅恒の機嫌を損ねるのでは?と心配した。

 

爾晴
 よく皇后のもとを訪れ、傅恒が政務で忙しく寂しいと相談しているらしい。その反面、名家の夫人として家の繁栄のために気を回し、祖父や高官夫人たちとの交流に勤しんでいる。
 立ち入りが禁じられている傅恒の書房に無断で立ち入り、寝台を整えていた青蓮の姿を見て誤解し彼女を拷問した。家に戻った傅恒に不貞を問い詰め、彼が持っていたかんざしを証拠だと主張した。それが自分への贈り物だと知ると泣き崩れた。

 

青蓮 Qing lian
 富察家の使用人。傅恒の書房の掃除係の少年が病のため、代わりに掃除をしていた。寝台に隠されていた香り袋を見つけたところ、突然やってきた爾晴に傅恒との仲を誤解されて拷問されてしまう。(傅恒の読みかけの本にしおりを挟んでいたが・・・?)

 

傅恒
 乾隆帝から格別に信頼され、御前侍衛から戸部侍郎に昇格し、さらに山西巡撫に出世することとなった。新妻の爾晴も構えないほど政務に忙しくしていたが、皇后が回復したという吉報を聞いて長春宮を訪れた。そこで瓔珞にも再会するが、冷静な彼女に動揺を見せた。
 皇后から瓔珞はとっくに未練を断ち切っているのだから……と諭され、自分も想いを断ち切って爾晴を大切にしようと心を改める。その証にかんざしを土産に帰宅するが、爾晴が嫉妬による早とちりで青蓮を拷問しており、言い争いになってしまう。爾晴の残虐性に顔をしかめ、青蓮の治療を家職に命じた。



メモ

思うに九州の博大なる~
 屈原の詩とされる『離騒』の一節。思九州之博大兮,岂唯是其有女。「天下(=九州)は果てしなく広い、ここにしか女がいないわけではないだろう」。祖国のために尽くしたが讒言により追放され、放浪を余儀なくされた上に最後は川に身を投げた屈原自身の心情を、詩の主人公の男を通して幻想的に表現したもの。
 かなり長編の詩なのでさらっと読んだ限り、古代帝王の子孫でありながら、頑固な性格ゆえに世間に受け入れられないことに絶望した主人公が旅に出て、道中で出会った美女に求婚するも失敗してしまう。そこで占い師を頼ると「もっと遠くに探し求めるべきである」と助言を受け、主人公は天界へと旅立つ・・・というあらすじ・・・だと思う(翻訳挫折)

 

王雱(おうほう)
 北宋時代の大臣・文学者・思想家。同じ思想家の王安石の子。病弱だったため妻子と別居していたが、王安石が勝手に妻を他人に嫁がせてしまったため、その悲しみと妻子への恋しさを『眼儿媚・杨柳丝丝弄轻柔』で表現した。

 

眼児媚
 詞(宋の時代に栄えた歌謡文芸)の曲調のひとつ。全48文字、前半の5句で3回韻を踏み、後半の5句で2回韻を踏む(???)。王雱の『眼儿媚・杨柳丝丝弄轻柔』はこの曲調を使った代表作。

 

会試
 科挙の試験のひとつ。各省都で行われる“郷試”を合格した者が、首都で受験する第二試験のこと。

 

山西
 太行山脈の西。現代の山西省と同じ位置?

 

芙蓉糕
 お菓子の一種。植物の芙蓉の色に似ているためこの名になった。小麦粉・卵・ベーキングパウダーなどをこねた生地を麺のように細く薄く切り、油で揚げて小麦色にしたあと、饴糖(中国の伝統的な食材)やハチミツなどと混ぜ合わせて型に入れ、固まったら食べやすい小さな長方形に切って出来上がり。ふんわりした食感らしい。