瓔珞迷<エイラク・ミイ>

瓔珞<エイラク>ファンの自己満足メモです。

『瓔珞』第3話・霊柏を騙る者

要点・見どころ

1.事件のカギを握る阿満とは?

 

あらすじ

前半・・・怡嬪を救うことができず、瓔珞は木を殴って憂さ晴らしをしていた。しかし、その木は“霊柏”という特別な木だったため、乾隆帝から罰せられそうになる。瓔珞はとっさに「霊柏に背中を掻いてくれと頼まれた」と出まかせを口にするが、乾隆帝が忙しさのあまり上の空だったため、運よくその場を切り抜けることができた。そうして無事に繍坊に戻れたものの、今度は姉の元恋人に強引に連れ去られた挙句、それを目撃した玲瓏に方女官が誤解するような告げ口をされてしまう。

後半・・・姉の元恋人は瓔珞を心配して声をかけたのだが、瓔珞は姉を見捨てた彼を憎んでいたため言い争いになる。しかし方女官は、ふたりが密通していると決め込んで怒鳴りこんできた。そこで瓔珞は厠をのぞかれそうになったと勘違いしたフリをし、方女官に襲い掛かって乗り切った。この騒動の中で方女官が落とした飾り結びに、瓔珞は見覚えがあった。姉の死の真相に近づき始めた瓔珞だったが、騙られたと気づいた乾隆帝が霊柏を叩いていた女官探しを始めていた。


登場人物

魏瓔珞
 頭の回転がはやく口が達者で、霊柏を叩いていたのは「夢に現れて、背中を掻いて欲しいと頼まれたからだ」とそれらしいことを言って罰を逃れた。しかし聡明な反面、霊柏の逸話を聞いて不敬な発言をしたり、方女官を故意に痛めつけるなど、豪胆でいささか乱暴な一面を見せる。
 慶錫に関して、姉の恋人ではあったが身分差のために正式に娶らないだろうと考えていた。自分が卑賎な出自だとは自覚しているがプライドは高く、権力に屈するような性格ではなさそう。

 

乾隆帝
 皇太后の元へ行く途中で霊柏を叩いていた瓔珞を見かけ、処罰しようとした。しかし政務が忙しく考え事をしていたため、うっかり口車に乗せられて見逃してしまう。さらに皇太后には、体調不良で世継ぎを産めそうにない富察皇后を偏愛していることを遠回しに注意され、機嫌を悪くする。李玉を蹴とばして八つ当たりしながら、件の女官(瓔珞)を探すように命じた。
 その後、寵愛する皇后の元を訪れ、なにかトラブルを抱えていることに気が付く。しかし、皇帝である自分が介入すると皇后の体面を潰してしまうと考え、高貴妃に写経を命じて遠回しに忠告した。

 

李玉
 皇太后から劉女官を通して乾隆帝の様子を聞かれ、言い逃れることができず「多忙のために食欲がないようだ」と報告し、皇太后に心配をかけた罰として乾隆帝にお尻を蹴られてしまう。
 霊柏を叩いた女官を探すよう命じられたが、顔を見ていなかったために「木を掻いておりました」というセリフを女官ひとりひとりに言わせ、声を頼りに虱潰しに探した。

 

太后
 乾隆帝の母。政務ばかりしている乾隆帝に、さり気なく世継ぎ問題を早く解決するように促した。経験則からか、「どんなに美しく賢くても、最後は輝きを失った“魚の目”になってしまう」と、妃たちの行く末を儚んだ。

 

劉女官 Riu Gugu
 皇太后の侍女。話をはぐらかしてばかりの乾隆帝の姿に思わず笑ってしまった。

 

富察皇后
 勝手に愉貴人を追い返した明玉を激しく叱責し、めまいを起こしてしまう。乾隆帝が様子を窺いに来たが心配をかけまいと真相は話さず、逆に多忙な乾隆帝の体を案じた。

 

明玉
 愉貴人を追い返した理由を、皇后がこれ以上体調を悪化させないためだったと話し、さらに愉貴人を助けてもなんの得もないと言って、皇后を怒らせてしまう。それでも、無策で高貴妃に立ち向かっても勝ち目はないと訴えた。

 

高貴妃
 乾隆帝から「頭を冷やせ」と写経を命じられ、怒りながらも監視する李玉の前で写経を完成させた。のちに乾隆帝が皇后の元を訪れていたことを聞き、皇后が陰口を言ったのだと思い込んで憎しみを強める。

 

錦繍
 無知な吉祥に紫禁城内の侍衛がいかに貴い身分の男性であるか、玲瓏とともに教えた。その侍衛の中でも女官たちの憧れの的・富察傅恒の姿を見かけ、気を引くために手巾を落としたり目の前で転んで見せたりしたが、見向きもされなかった挙句、瓔珞に止められる。

 

吉祥
 紫禁城の侍衛は貴族の出であることなどを知らなかったため、浮足立つ錦繍たちの話題についていけなかった。瓔珞が方女官を激怒させたため心配したが、故意に痛めつけたことを知り驚いた。

 

玲瓏
 瓔珞が慶錫に強引に連れて行かれるところを目撃し、方女官に「知り合いもいないはずなのに、おかしい」と告げ口する。その結果、瓔珞にこっぴどく仕返しされた方女官から「瓔珞の行動を逐一報告しないと告げ口したことをバラす」と脅され、仕方なく従うことになる。

 

斉佳慶錫 Qingjia Qingxi
 満州族の御曹司で侍衛。瓔珞の姉とはかつて恋仲だったが、侍衛と女官の恋愛は許されないため宮中では他人を装っていた。彼なりに恋人を救えなかったことを後悔しているのか、もしも困難があれば自分を頼るようにと、瓔珞に自分の当直を教えたが断られる。

 

方女官
 玲瓏の告げ口を受け、瓔珞が侍衛を誘惑したのだと決めつける。罰するために現場に駆け付けるが、瓔珞がのぞきと勘違いしたフリをして執拗に棒で殴ってきたため、腰を負傷して動けなくなる。その際に阿満が作った飾り結びを落とし、それを瓔珞が拾ったことでなにかを思い出しつつある様子。

 

氷清 Bing qing
 方女官のお付き。腰を痛めて動けない方女官にお茶を淹れたが、口に合わなかったため淹れ直しを命じられる。その時に瓔珞が落とし物の飾り結びを届けに来たため、つい立ち話をしてしまう。その飾り結びを作った阿満のことは禁句だったが、瓔珞が好きな柄の香り袋を作ってくれると言うので、かつて罪を犯して後宮を追われた女官だとこっそり教えた。

 

阿満 Aman
 かつて繍坊で働いていた女官。方女官が持っていた特殊な飾り結びの作者だという。彼女の話題は禁句だが、方女官が詳細を知っているらしい。

 

張女官
 瓔珞に霊柏の逸話を聞かせ、「紫禁城では木よりも、寵愛を失った人のほうが悲惨な目に遭う」のだと嘆息する。のちに李玉が霊柏を叩いた犯人を探しにやってくると、瓔珞に舒貴人の衣を届けに行かせて逃がした。

 

舒貴人(納蘭) Shu Guiren
 秀女選抜に合格し、貴人として入内した納蘭淳雪。新しい衣を取りに繍坊を訪れた際に瓔珞を見つけ、烏雅氏を陥れた件を追及するが故意ではなかったことを知る。それでもなお、瓔珞に対して不信感を表した。寵愛される妃を目指し、皇太后を通じて乾隆帝の好きなお茶を差し入れたり、李玉を呼びつけて動向を探ろうとしているが、入内から1か月経っても乾隆帝に会えずにいる。

 

慶常在(陸) Qing Changzai
 秀女選抜に合格した陸晩晩。野心を大きな声で口にする納蘭に慎むように勧めるが、聞き入れてもらえなかった。

 

富察傅恒 Fucha fuheng
 皇后の実弟で、文武両道の優秀な侍衛。その姿を一目見ようと女官たちに囲まれ、黄色い声を浴びせられても見向きもしなかった。


メモ

杖刑
 木製の棒(杖)で背中やお尻を叩かれる刑罰。通常それほど重い罰ではなく、重傷を負ったり死に至るようなものではない。罪の重さで叩かれる回数が増え、霊柏を叩いた瓔珞は30回だった。

 

霊柏
 霊=霊力がある・柏=ヒノキ。乾隆帝が酷暑の中で微服で外出(微服私访?:質素な服装でお忍び旅行をすること)した際に、まるで木が日差しを遮ってくれている感覚がし、人々が霊柏が乾隆帝を守ってくれたのだと称え、乾隆帝も自ら札を作成して崇めた。瓔珞はその話を馬鹿にし、それを叩いて罰を与えられそうになったことを「紫禁城では人は木に劣るのか」と怒った。実在はしない?

 

洞庭碧螺春(ドウテイ・ヘキラシュン)
 中国十大銘茶のひとつ。江蘇省の太湖にある洞庭山が産地で、香りが良いため現地の人は「嚇殺人香 xia sha ren xiang(人を殺せそうな香り(のお茶))」と呼んでいた。『瓔珞』では「びっくら香」と訳されていたが、蘇州語で「香りが良すぎてびっくらこいた」という意味の名前だったという説もある。乾隆帝の祖父・康熙帝がその呼び名が下品だとして、碧螺春(茶葉が緑色で螺旋状の春のお茶)と改名したという故事がある。しかし定説は、洞庭山にある碧螺峰にちなんだとされる。
 清々しくも独特な甘さのある香りと繊細な味で、現地で飲んで気に入った康熙帝は茶葉を献上させた。乾隆帝も一番好きなお茶だということで、はやく乾隆帝に会いたい納蘭が皇太后に差し入れをした。

 

進貢
 みつぎ物をすること。乾隆帝の父・雍正帝が民を思って中止したが、乾隆帝は皇太后が望むなら復活させるとご機嫌をとって話を逸らそうとした。

 

神武門
 紫禁城の北門(元は玄武門)。城壁の上に望楼(物見やぐら)がある城楼門。富察皇后は明玉と言い争っていた本当の理由を乾隆帝に知られないよう、体調が悪いのに愉貴人の懐妊祝いの祭壇を神武門に用意しようとして反対された、と嘘の説明をした。ちなみに現在では、故宮博物館へ出入りする観光客のための門として使われている。

 

金剛般若経
 大乗仏教般若経典のひとつ(乾隆帝大乗仏教のひとつチベット仏教を信仰)。「金剛杵(金剛=ダイヤモンドでできた雷を操る法具)のように煩悩を裁断する般若波羅蜜の経」。お経にしては比較的短編とされているが、写経を命じられた高貴妃は「五千字はある」と言って怒った。写経はもともとは仏教の布教や信仰のために行われていたが、乾隆帝は血気盛んな高貴妃を鎮めるため(警告するため)に命じた。当時すでに精神的な目的だった?

 

侍衛
 身分の高い人の護衛をする人。特に紫禁城内の侍衛は貴族出身の男性が担う。もちろん出自が良いだけではなく、武術を極めたエリートでなくてはなることができない。皇帝の近くにいるため気に入られれば出世できるチャンスがある。女官と特別な関係を持つことは許されない。

 

上三旗・下五旗・包衣
 もともと女真族は有事の際に兵士となる成年男子を八つの軍隊(正黄旗・鑲黄旗・正白旗・・・など)に振り分け、掌握していた(八旗制)。民族名を満州族と改め、清朝を建てた際にもその制度を引き継ぎ、支配階級の満州族・漢族・モンゴル族をそれぞれ満州八旗・漢軍八旗・蒙古八旗に所属させた。
 上三旗は八旗の中でも皇帝が直轄する三つの旗、それ以外は下五旗と言ってそれぞれの旗王が管轄した。各旗に所属する人々(旗人)の中にも身分があり、その最下級が包衣。上三旗の包衣の女性は女官として宮仕えをする。

 

内務府
 宮廷事務を担う、現代日本でいう宮内庁のような機関。皇室の財産管理から宮殿の建築や修繕、女官や宦官の管理など幅広い業務を担当。繍坊もこの管理下。上三旗の包衣で構成され、呉総管はその長。

 

飾り結び
 中国結びのこと。紐を美しく編んだり結んだりして、腰に下げたり扇子などの持ち物につけたり、家具や楽器などを装飾するのに使った伝統民芸品。唐と清の時代に流行し、特に清では新しい結び方が発明されて様々な技法で作られるようになった。方女官が持っていたものは特に特殊で美しい結び方で作られており、瓔珞はそれに見覚えがあった。

 

皮坊・如意館
 各宮殿の女官を調べつくした李玉が、次に調べようとした場所。皮坊は獣の皮を加工する場所? 如意館はヨーロッパの画家たちが仕事をする場所(乾隆帝は宮廷画家を重用したことで有名)。

 

春装
 春の装い。これを急いで作っているということは季節は早春?