瓔珞迷<エイラク・ミイ>

瓔珞<エイラク>ファンの自己満足メモです。

『瓔珞』第十三話・親と法

要点・見どころ

1.瓔珞、傅恒の信用を得る 2.善を貫くか、悪を貫くか

 

あらすじ

前半・・・瓔珞は雪球を匿い、傅恒から信用を得た。しかし張女官から「悪人を貫くなら徹底しなさい」と警告されてしまう。一方、これまで善人を貫いてきた嫻妃は、尊敬する父親が怡親王に賄賂を渡したと乾隆帝から聞かされる。嫻妃は無実を信じて獄中の父親に会いに行くが、父親は罪を認めた上で牢から出してくれと言う。嫻妃は法に反するわけにはいかないと断固拒否。そのことで母親と口論している最中、弟が亡くなったとの報が届く。母親は嫻妃を無能と罵りながら、目の前で自害してしまった。

後半・・・皇后は嫻妃に同情し、嫻妃の父親を赦免するよう乾隆帝に願い出ることにした。瓔珞が的確に助言をしたおかげで皇后の想いは伝わり、嫻妃の父親は放免されることになった。翌日、嫻妃がお礼のために長春宮を訪れるが、瓔珞はその様子に違和感を覚える。そのころ高貴妃は、嫻妃の高潔さを打ち砕いたことでやっと自分の手下にできると喜んでいた。これで勢いづき、次は目障りな瓔珞を消し去ろうと企む。かつて瓔珞と恋仲だったと噂の慶錫を手駒にするため、彼の上司である怡親王を利用する。


登場人物

魏瓔珞
 雪球の殺処分を引き受けるも、実は密かに匿っていた。自分は悪人だから傅恒を油断させるためだったと説明するが、張女官から嘘だろうと追及されると、雪球を自分の保身のために利用してしまったので、せめてもの罪滅ぼしだったと明かした。少しでも恩義を感じると、それが例え犬だろうとも義理を果たそうとする、義理堅い性格なのだろう。が、それを張女官から危ぶまれ警告された。
 那爾布を助けようとする皇后の想いを悟り、うまくいくよう乾隆帝には単刀直入に、那爾布ではなく嫻妃を助けたいのだと訴えるよう助言をした。その後、長春宮にやってきた嫻妃の様子に違和感を覚える。
 皇后から習字を教えてもらうも、筆を持つことにすら慣れておらず、上手に書けなかった。しかし「下手だからこそ習うのだ」と言って、挫けず練習を続けた。皇后から書かされた“皇帝の心構え”の意味は理解できても、なぜそれを書かされたかは理解できていなかった。

 

傅恒
 瓔珞が持ってきた毛皮が雪球のものではないと見抜き、海蘭察になにか罠を仕掛けているのではと問い詰める。しかし、純粋に雪球を殺すことができず匿っていたと知り、疑いすぎたことを謝罪した。瓔珞が雪球を可愛がる姿に心を打たれ、紫禁城の外で新たな飼い主を探すことにした。
 偶然、怡親王と阿双が話しているとこを見かけ怪しみ、声をかけた。

 

張女官
 跪く機会が多くて膝がつらかろうと、瓔珞から毛皮でつくった膝当てを贈られる(瓔珞はこれを口実に、偽物の雪球の毛皮も手に入れた?)。瓔珞が甲斐甲斐しく雪球を世話しているところを偶然目撃し、彼女が自らを悪人だと言うと、もしもそう名乗るなら徹底して隙を見せないようにと警告した。

 

嫻妃
 皇后から恩賞として頂いた銀子500両をすぐに実家へ送ったものの、自分を慕ってくれていた弟を思い出して落ち込んでいた。ちょうどそのときやってきた乾隆帝から、父親が銀子を怡親王への賄賂として横流ししたことを告げられる。高貴妃が自分を陥れるために父親に無実の罪を被せたと考え、乾隆帝にも「ありえない」と反論した。しかし獄中の父親に会って直接話を聞くと、父親は母親(妻)に言われて賄賂を渡したと認める。尊敬していた父親に裏切られた怒りと失望を感じ、牢から出してくれという懇願を拒否した。
 紫禁城に戻ると、門の前で待っていた母親と口論になる。そこへ弟が獄中で亡くなったという報が届き、母親は目の前で自害。大きなショックを受けて承乾宮に引きこもり、皇后のおかげで父親が赦免されても喜ばなかった。
 後日、皇后のもとへお礼に向かうが、その様子はどうもおかしい。

 

那爾布 Naerbu

 跡取り息子を助けろと妻に迫られ、とうとう息子の審理を担当する怡親王に賄賂を渡して投獄されてしまう。罪を認めて後悔しているが、嫻妃に助けてもらおうとすがりついた。

 

富察皇后
 同時期に輿入れして9年もの長い間、ともに乾隆帝に仕えてきた嫻妃に同情し、承乾宮を訪れるが気遣って面会は遠慮した。乾隆帝に歎願しようとすると、瓔珞から助言を受ける。養心殿ではその通りにし、そもそも自分が「嫻妃に恩を売った」と噂されるのを恐れて、堂々と直接、医者を遣わせてあげなかったのが原因なのだから、自分にも責任があると訴えた。
 瓔珞に書道の練習として「天下を有する者は天下の主である」という、周の文王が語ったとされる“皇帝の心構え”を書かせ、「ひとは誰しも、異なる立場で異なる責任を負うのだ」と教えた。

 

明玉
 瓔珞の字を見て思わず、「ミミズが這ったような字だ」と笑った。皇后が嫻妃を助けようとすると、自分たちに関係ないのになぜ助けるのかと言って反対した。損得勘定でものを考えるドライな性格のようだ。

 

乾隆帝
 嫻妃の父親が罪を犯したと知り、それを告げようと承乾宮を訪れる。信じようとしない嫻妃に、直接獄中の父親から話を聞いてこいと命じる。皇后から赦免を頼まれると「公私混同をするべきでない」と渋ったが、必死な訴えに心を動かし聞き入れた。

 

高貴妃
 嘉嬪と雪球を野放しにした罰を受け、嘉嬪に巻き添えにされたのだと怒っていた。
 怡親王が嫻妃の父親から賄賂を受け取ったことを知り、それを告発させて嫻妃を失墜させた。さすがにもう高潔さにこだわっていられず、自分の手下になるだろうと喜んだ。次は瓔珞を狙い、再び怡親王を使って嘉嬪とともになにか企んでいる様子。

 

親王
 皇族(乾隆帝のいとこ)。わずか9歳で爵位を継いだものの、先帝の死後は振るわず、乾清門の侍衛にとどまっている。そのため勢いのある高家を後ろ盾にしようと企んでおり、那爾布から賄賂を受け取ったことを高貴妃に告げ口して気に入られようとした。さらに高貴妃から利用され、今度は瓔珞を狙うため昇格をエサに慶錫を手懐けようとしている。

 

慶錫
 二等侍衛。昇格できるよう口添えしてやると怡親王に言われ、忠誠を誓った。


メモ

「君を信じる」
 傅恒が瓔珞に向けて言った言葉。しかし瓔珞は乙女ゲームの主人公さながらの突発性難聴を発症し、聞き返した。

 

龍井茶
 緑茶の一種。中国南部の龍井村が産地。高貴妃は「まずい!」と言って吐き出していたが、高級茶の部類でありながらポピュラーなお茶として親しまれており、いつものお茶ではないことに癇癪を起しただけだろう。

 

雲霧茶
 龍井茶と同じ緑茶だが、龍井茶のように摘んですぐには煎らず、数時間、冷暗所に置いて水分を飛ばしてから煎る。高貴妃が好きなお茶だと周知されているらしいが、産地の盧山に長雨が降った影響で茶葉が収穫できず、御茶房が代わりに龍井茶を用意したところ、事情の知らない高貴妃は馬鹿にされたと勘違いして怒った。

 

嫻妃の家族
 父親は清廉潔白で慎み深く、地位や富を得ることよりも善良であること・法を守ることを重視していた。反対に母親は輝発那拉家の繁栄を願い、きらびやかな生活に憧れているのに、慎ましやかな生活を強いられている。嫁入り道具まで売り、実家からも冷ややかな扱いを受け、その不満から父親に冷たくあたっていた。頼りの娘・嫻妃も父親によって厳格に育てられ、せめて唯一の跡取りである放蕩息子をなんとか良い職に就けようと、乾隆帝の腹心である鄂善に賄賂を渡すよう唆した。その結果、息子は捕まり獄中で赤痢を発症。それを助けるため今度は父親に、怡親王に賄賂を渡すよう迫る。しかし怡親王が嫻妃と対立する高貴妃と結託していたため告発され、結局、父親までもが投獄されてしまう。
 高貴妃に大事な嫁入り道具を破壊されたり、苦しい思いをしながらも父親の教えを守ってきた嫻妃にとって、父親が罪を犯したことは裏切りも同然で、かなりショックだったろう。そうするように仕向けた母親に怒りをぶつけるも、そうこうしている間に弟は病死。母親は嫻妃を罵りながら、門柱に頭を強打させて自害。さすがの嫻妃も、気が狂わないはずがない……。

 

鉄帽子王
 雍正帝の時代に活躍した怡親王(作中に登場する怡親王の父)に与えられた爵位世襲することができ、俸禄などで優遇される。

 

ライチの葉
 陰陽思想で、果実が陽・葉が陰だから?果実を食べすぎた乾隆帝の陰陽バランスをとるためにお茶にした? ライチ紅茶なるものがあるらしいが、それはフレーバーティーなので葉を煎じたものではない。

 

親王
 乾隆帝が即位前に暮らしていた邸宅。“宝親王”は乾隆帝の即位前の爵位(称号?)。

 

周の文王
 紀元前・殷の時代の王様。聖君として民間信仰の対象にもされる。故事や説話が収められた劉向の『新序』という書物に、「文王が池を掘ろうとした際に白骨を見つけ、『改めて埋葬するように』と命じると、官吏は『この白骨には主がいません』と言う。そこで文王が『有天下者,天下之主也。有一国者,一国之主也(天下を有する者は天下の主。国を有する者は国の主)……』……すなわち、民衆の主である君主の責務として葬るのだと答えた。それを聞いた民は、文王は仁愛の心を持っていると感服した」という説話が残されている。

 

窮すれば則ち其の身を善くし 達すれば則ち兼て天下を善くす
 孟子の言葉。困窮は自分を良くするチャンスであり、自分を良くすることを達成すれば天下を良くすることにもなる、という意味? 皇后は瓔珞に、自分を向上させれば周囲にも良い影響を与えるのだよ、と教えたかったようだが、瓔珞は理解できていなかった。

 

乾隆帝の眉間
 シワが刻まれてるのまじ渋い。