瓔珞迷<エイラク・ミイ>

瓔珞<エイラク>ファンの自己満足メモです。

『瓔珞』第28話・辛者庫の夜

要点・見どころ

1.皇后の本音 2.袁春望、再登場

 

あらすじ

前半・・・理想の皇后になるため自我を殺してきた富察皇后にとって、何者にも囚われずまっすぐに“自分自身”を生きる瓔珞は、希望そのものだった。希望を奪われたくない……皇后は乾隆帝から守るための苦肉の策として、瓔珞を辛者庫へ追放したのだった。乾隆帝は初めて皇后の本音を聞き動揺するが、瓔珞を許す気もなかった。辛者庫の苦役に耐えかねて泣いて詫びに来るまで、捨て置くのだと言う。しかし、瓔珞が皇后の元を離れたことはすぐに高貴妃の耳にも入り、後宮に再び不穏な空気が漂い始める。

後半・・・辛者庫で瓔珞は肥桶洗いの苦役を課され、その悪臭に顔をしかめる。さらに再会した錦繍のせいで孤立し、仕事仲間の袁春望からも拒絶される。それでも挫けず真面目に働いていると、ある夜、城外の任務から戻った傅恒が禁足を破ってまで来て、連れ出そうとしてくれた。しかし、瓔珞は将来有望な彼のキャリアを守るため、わざと嫌われようとした。傅恒は諦めず、今まで尽くしてきた分の見返りを結婚することで返して欲しいと説得するが、瓔珞は見返りなら今すぐに返すと言って衣を脱ぎ始め……。


登場人物

魏瓔珞
 辛者庫に入れられ、肥桶洗いの仕事を課された。その悪臭に顔をしかめつつも真面目にこなし、さらには落ちている炭の欠片を拾い集め、なにか対策を講じているようだ。
 かつて流言を流された仕返しに罠にはめ、辛者庫送りにした錦繍と再会する。相変わらずの彼女に悪態をつかれても、怯むことなくむしろ挑発して威圧した。しかし、彼女が仲間たちに「瓔珞は危険だから近づくな」と嘯いたので孤立してしまう。
 仕事仲間の袁春望に話しかけることで気を紛らわそうとしたが、無視をされてしまう。それでも、食事をとろうとしない彼を気にかけ、限られた食料の中で饅頭を確保して彼に渡すなどした。
 傅恒がやってくると、乾隆帝に婚姻の許可を求めようとする彼を振り払い、わざと辛辣な言葉を吐いて嫌われようとした。武功を立てて後世に名を残したいという彼の真の理想のため、さらには恩人である皇后やその家族に迷惑をかけないためにも、婚姻を諦めるべきなのだと主張した。傅恒が引き下がらず、結婚することで尽くしてきた見返りをしろと言われると、借りを作りたくないといって貞操を捧げようとした。

 

富察皇后(富察容音)
 かつて先代の皇后から、夫よりも多く言葉を発したために罰を与えられ、以来、国の母たる皇后としてすべての女性の見本になれるよう、自我を殺して努めてきた。しかしそれによって自分を見失い、まっすぐに生きる瓔珞の生き方が羨ましいと涙を流した。「瓔珞を守ることは、失った自分を守ることでもある」と乾隆帝に語り、瓔珞を許すよう懇願した。
 瓔珞が去ったあとも、思わず習慣で彼女を呼んでしまった。懐妊して味覚が変わった自分のために、調合したお茶を残してくれたことに感慨深そうにしたが、自分の力ではもはや辛者庫から出すことはできないのだとため息をついた。

 

乾隆帝
 理想の皇后だと思っていた富察皇后が、実はそうなるために自分を押し殺していたことを初めて知り、動揺した。瓔珞を許すように懇願されるも、なにも答えず長春宮から立ち去った。李玉から辛者庫の苦役はきっと耐えられないだろうと言われても、皇后が買い被り過ぎていることを証明するため、泣くまで捨て置くと言い放った。

 

李玉
 瓔珞を捨て置くと言った乾隆帝に、辛者庫の苦役は耐えられないだろうと忠告した。

 

明玉
 傅恒に瓔珞を助けてもらおうと向かったところ、海蘭察とぶつかる。傅恒が宮中にいないことを知ると、男はみんな肝心なときにいないと憤り、海蘭察に蹴りを入れて八つ当たりした。

 

海蘭察
 明玉から瓔珞のことを聞き、詳細を聞こうとしたが口論になってしまう。怒りっぽい明玉に呆れつつ、自分で瓔珞の件について調べ、宮中に戻ってきた傅恒に伝えた。禁足を破って辛者庫に向かおうとした傅恒を止めようとしたが、振り払われてしまった。

 

高貴妃
 大好きな芝居を禁じられたため絵を描いていたが、嫌気がさしたのか破り捨ててしまう。高雅な趣味も幼いころから身に着け、誰にも負けないと自負していたが、蘭やら竹やらを高尚なものとして愛でるのは、自分を高尚な人物に見せたい人間のただの見栄だと笑った。
 裕太妃の訃報を大笑いしてあしらい、舒貴人から瓔珞のことを聞いても最初は興味なさそうにした。しかし、それはつまり長春宮の守りが薄くなったことだと理解すると、ようやく後宮がにぎやかになるといって不敵な笑みを浮かべた。

 

芝蘭
 せっかく描いた絵を捨ててしまった高貴妃に、なぜそのようなことをと驚く。蘭も韮も似たようなものだという高貴妃に、蘭は純妃が“花の君子”だと褒めるほどの花だと説明した(自分の名前だし…?)。

 

舒貴人
 高貴妃に吉報だとして、瓔珞が辛者庫に追放されたことを伝えに来た。興味のなさそうな高貴妃に、つけ入る隙ができたということだと説明した。

 

嫻妃
 化粧をしていたところ、かつてのお気に入りだった玉を見つけて何かを思いつく。皇太后すら弔問を控えているにも関わらず、寿康宮に行き裕太妃に線香をあげ、気落ちする和親王に優しい言葉をかけた。そして玉をさり気なく見せて、なにかを思い出させた様子。珍児から、和親王に関わってはいけないと注意されるも、気にも留めず何かを企んでいる。

 

純妃
 嫻妃と囲碁を楽しみながら、近々第四皇子の生母・金氏の妹が入内することを伝えて、皇子を奪われないようにと注意した。人のことより自分のことを心配しなさいと言われ、自分は皇后の子を我が子と思って世話し、亡くなったときはその子に供養してもらえれば満足だ、と答えた。

 

親王
 幼いころ、こっそり街へ遊びに出かけたところお金を盗まれてしまい、たまたま輝発那拉家の前で困っていたところ、若き日の嫻妃に助けてもらっていた。みなが天罰を恐れて弔問に来ないのに、来てくれた嫻妃が腰に提げていた玉を見て、それを思い出したようだ。
 本当は利発で武術の腕前も兄(弘暦)に劣らず、皇子として皇位に就くことを目標にしていた。しかし、雍正帝は弘暦を贔屓にしていたため、母から諦めて争わないようにして身を守りなさいと教育される。それに対する反発で、変人を装うようになった?

 

劉女官
 辛者庫を取り仕切る女官。瓔珞に辛者庫の仕事を教え、まずは一番簡単な肥桶洗いを課した。

 

錦繍
 辛者庫にやってきた瓔珞を見つけ、相変わらずの口調でからかった。瓔珞から挑発されて激怒するも、仲間たちになだめられた。辛者庫では自分の方が顔が利くと言い、仲間たちに瓔珞は危険だから近寄ってはダメだと言い聞かせた。
 顔の良い袁春望のことを一方的に慕っており、「袁哥哥(袁兄さん)」と呼んでまとわりつくが無視されている。しかし瓔珞曰く、傅恒のときよりははるかに積極的なため、本気で好きなようだ。

 

袁春望
 肥桶を各宮殿に運ぶ仕事をしているため、肥桶洗いの瓔珞とは仕事仲間になる。しかし瓔珞が話しかけても返事をせず、彼女が厚意でくれた饅頭にも手を付けなかった。美形のために彼を慕う人も多いらしいが、どうやら誰に対しても同じような態度らしい。
 夜、屋外で仮眠?をしていたため、偶然にも傅恒と話し込む瓔珞を目撃する。

 

傅恒
 乾隆帝の命令で城外にいたため、瓔珞が長春宮を追われたことを知らなかった。夜更けになってようやく海蘭察から聞かされ、禁足を破って辛者庫に駆け付けた。瓔珞を見つけるとすぐに手を引いて、乾隆帝に婚姻の許可をもらうといって連れ出そうとしたが、拒否されてしまう。立身出世よりも瓔珞と結婚することが理想だと語るが、本当は武人として名を残したいのではと問われると動揺した。しかし、そもそも瓔珞から近づいてきたのだから、今まで尽くしてきた分の見返りを結婚して返してくれ、と反論する。意地でも婚姻を避けようと衣を脱いだ瓔珞に対し、最初は目をそむけたが「君子といえども男だ」と肩を掴み……。

 


メモ

孝敬憲皇后
 雍正帝の正妻。富察皇后いわく、とても女徳に厳しい人だったという。諡号(生前の評価に基づいて贈られる名)が「孝敬(目上の人によく仕える)」なので、つまり、夫である皇帝によく尽くしたという評価? 男子を一人産んだが早くに亡くしてしまい、自らも雍正9年(51歳)に病で亡くなった。

 

女則
 史上最も賢かった皇后と評される唐の太宗の皇后・長孫皇后が、古代の女性の功績を書物にまとめたもの。つまり“女性の規則”が書かれているのではなく、お手本とすべき女性たちの行いが紹介されている。ほとんど現存しておらず、全何巻あったのかは諸説ある。

 

蘭と韮
 蘭というと華やかな花を思い浮かべるが、ひとくちにランと言っても多くの種類があり、おそらく野生の蘭のことを指しているのでは。葉っぱがとがっていて、韮に見えなくもない?

 

芝蘭
 芝は香草の一種。芝と蘭はどちらも香り高く、古代から高尚なものや環境が良いことの例えとして用いられる。

 

芝蘭は幽谷にありて~
 孔子の言葉。芝兰生于深林,不以无人而不芳(芝や蘭は深い森の中に生え、人がいなくても芳しい)。この続きに、“君子修道立德,不谓穷困而改节(君子は逆境にあっても、変わらず徳を高めるのだ)”とあり、つまり芝蘭を君子にたとえ、人が見ていようがいまいがするべきことをするべきである、という意味。

 

士大夫
 官僚・地主・文人の三つを兼ねた人のこと。豊かな生活を送るエリート。

 

梅蘭竹菊
 草木の君子とたとえられる四つの植物。四君子ともいう。早春の雪の中で咲く梅、芳しい香りと気品のある姿の蘭、真っすぐで冬でも青々としている竹、晩秋の寒さの中でも鮮やかに咲く菊、それぞれ中国で昔から愛されてきた。また、絵を描く際に画法の基礎が学べるため、この4つはよく絵の題材として扱われる。

 

午の刻
 午後12時の前後1時間。

 

雨水?
 辛者庫の木の周囲に囲い?があったけど、雨水を集めるため? 細かいなぁ。