瓔珞迷<エイラク・ミイ>

瓔珞<エイラク>ファンの自己満足メモです。

『瓔珞』第36話・雪中の三歩一叩

要点・見どころ

1.純妃の変化 2.傅恒と爾晴の婚儀 


あらすじ

前半・・・失恋の痛手を負った純妃は嫻貴妃の言葉に動かされ、乾隆帝に会えるよう李玉に便宜を図ってもらう。そして李玉は、瓔珞の処遇について思い悩む乾隆帝を、純妃が待つ御花園に導いた。元来の美しさと聡明さを持って、純妃は見事に乾隆帝の寵愛を得たのだった。その一方で乾隆帝は、塞ぎこむ皇后を元気づけるため、瓔珞を放免して長春宮に戻すことを決める。過酷な条件付きだったが、瓔珞はどんな処遇でも受ける覚悟だった。ときは流れ、冬になり、いよいよ傅恒と爾晴の婚儀が執り行われた。

後半・・・傅恒はいまだ瓔珞に未練があったが、必ず忘れると爾晴に約束する。そしてある大雪が降る日に、ふたりで乾隆帝に挨拶するため紫禁城を訪れた。そこで偶然にも、瓔珞が雪の中で“三歩一叩”をする姿を目撃する。それは乾隆帝が与えた罰であり、瓔珞にとっては傅恒への想いを断ち切るための行為だった。傅恒はたまらず駆け寄ろうとするが、爾晴が許すはずもなかった。助けようとする袁春望の手も振り切り、瓔珞は三歩一叩を成し遂げようとするが、ついに倒れてしまう。そこへ乾隆帝が現れ・・・。


登場人物

魏瓔珞
 焼炕処に異動し、炭の掃除をしていたところ、乾隆帝に声をかけられた。長春宮に戻りたいかと問われると、最初は恐れ多いと懇願しなかったが、皇后が目覚めて塞ぎこんでいると聞くと、どんな罰でも受けるため戻してくれと求めた。長春宮に戻す条件として、傅恒に愛は偽りだったと告げるか、初雪が降る日に3歩歩いて土下座するという、“三歩一叩”を繰り返しながら後宮中を練り歩くという罰を受けるかの2択を選ばされ、傅恒への愛情は偽りではなかったとして後者を選び取った。
 大雪が降る中、その罰を実行した。偶然にも宮中を訪れていた傅恒夫妻とすれ違うが、傅恒への想いを断ち切るため、一瞥もせず横を通り過ぎた。やがて立ち上がることもできないほど凍え、袁春望に傘を差しかけられるが、それも振り切ってひたすら前に進み続けた。袁春望が飲み水を用意するため離れた後、とうとう倒れてしまう。乾隆帝によって養心殿に運び込まれ、目を覚ますと女官にされるがまま着替えさせられ、美しく着飾られてしまう。混乱しながら部屋を飛び出そうとしたところ、乾隆帝にぶつかってしまい・・・。

 

嫻貴妃
 失恋の痛手を負った純妃に「痛みは人を目覚めさせる」と告げ、傅恒への情や皇后への依存を断ち切るように唆した。

 

純妃
 嫻貴妃の言葉を受けて、寂しさを埋めるために乾隆帝の寵愛を得ることを決意する。李玉や德勝に便宜を図ってもらい、御花園で乾隆帝を待った。涼しくなってきたにも関わらず、幼少期を過ごした杭州の景色を描いたうちわを持ち、乾隆帝の興味をひいた。寵愛を失うのを恐れて夜伽を避けていたが、ようやくやはり愛されないのは寂しいと気付いたのだと涙を流した。生まれ持っての美しさもあって策略は成功し、その夜は乾隆帝の床で過ごした。

 

李玉
 乾隆帝から、自分の瓔珞に対する処遇について率直な意見を述べよ、と命令されるも答えられなかった。その晩は純妃から便宜を図ってくれと頼まれていたため、思い悩む乾隆帝をそれとなく御花園に導いた。
 炭の掃除をする瓔珞を乾隆帝が見つけると、わざとらしく「こんな汚い仕事をおなごがしているのか!」と驚いてみせ、乾隆帝が彼女を放免しやすいように気を回した。放免の代わりに彼女が厳しい罰を受けることになると、凍死してしまうだろうと心配した。とうとう倒れてしまった瓔珞を「きれいにしろ」と言われると、妃にふさわしいように着飾らせるのだと解釈した。

 

德勝
 瓔珞について乾隆帝から意見を求められると、しどろもどろになりながら「他の者なら処刑されているのに・・・」と本心を正直に述べて怒らせてしまう。
 乾隆帝の瓔珞を“きれいにしろ”という命令の意図がわからず、李玉に助言を求めた。李玉が寝所(?)を指さしたことで、ようやく理解した。

 

海蘭察
 婚儀まであと3か月に迫ったころ、思い詰めた様子の傅恒に気を揉み、後悔しないのかと尋ねた。

 

傅恒
 爾晴との婚儀が迫る中、いまだに瓔珞の手作りの香り袋を未練がましく撫でていた。海蘭察に心配されても後悔しないと語ったが、乾隆帝から高級な官職を与えられることになっても、婚儀のことが気がかりで喜べず怒らせてしまった。
 いよいよ婚儀の当日、弟に促されてようやく爾晴のもとに向かった。儀式の最中も浮かない表情で、爾晴からも後悔しているのかと心配される。彼女にも後悔はしていないと告げ、時間はかかるだろうが瓔珞のことは必ず忘れると約束した。しかし、乾隆帝への挨拶のために紫禁城を訪れ、瓔珞が厳しい罰を受けているのを目撃すると、思わず駆け寄ろうとしてしまう。皇后から、もう後戻りはできないのだからと諭されるも、瓔珞を心配して上の空だった。

 

爾晴
 念願の婚儀の日を迎え、喜びに満ちた表情だった。しかし浮かない傅恒に対し、婚姻を後悔しているのではと問いかけた。瓔珞のことを愛していても妻として尽くすと語りかけ、彼女を忘れるまでいつまででも待つと約束した。紫禁城で傅恒が瓔珞に駆け寄ろうとすると、必死に腕を掴んでそれを許そうとしなかった。
 皇后に挨拶をするため長春宮を訪れ、明玉に本当に幸せかと問いかけられると、静かに当然だと頷いた。

 

富察皇后
 傅恒と爾晴が挨拶にやってくると笑顔を見せ、爾晴にはかんざしを贈った。傅恒の様子がおかしいのを見ると、彼に「もう後戻りはできないのだから、己の心を欺いてでも爾晴を生涯大切にしなさい」と説いた。

 

明玉
 婚姻のあいさつに来た傅恒の様子がおかしいのを見ると、爾晴を外に連れ出して皇后と二人きりにした。侍女だったころとは別人のようになってしまった爾晴に戸惑いつつ、「あなたも婚姻について考えないと」と言われると首を振り、ずっと皇后に仕えるつもりだと答えた。

 

袁春望
 雪の中で倒れこむ瓔珞に傘をさしかけ、ともに歩くと手を差し伸べた。瓔珞がその手を振り払っても黙って横を歩き、いよいよ限界が来そうな彼女のため、飲み水を用意しようとした。そして彼女のもとに戻ったが、乾隆帝が現れたため慌てて姿を隠した。そのまま養心殿に運び込まれるのを、無言のまま見届けた。

 

乾隆帝
 瓔珞に対しての処遇について悩み、李玉たちに意見を求めた。結局、德勝が本心を述べると不機嫌になって養心殿を出ていき、そのまま李玉の勧めで御花園に向かった。そこで純妃の姿を見つけて声をかけると、思いがけず彼女から涙ながらに愛を語りかけられ、その晩はふたりで養心殿で過ごした。純妃をいたく気に入ったのか機嫌良さげにしていたが、傅恒が婚儀に対してまったく喜びの表情を見せないため途端に激怒して、純妃に贈るつもりだった碁石をばらまいてしまう。
 炭の掃除をする瓔珞を見かけると、そろそろ長春宮に戻りたいのではないかと尋ねた。彼女がなかなか懇願してこないため、皇后が目覚めたことを知らせた。ようやく前向きになった瓔珞に対し表情を和らげたが、傅恒との私通に関してまだ疑うところがあったのか、長春宮に戻る条件として、傅恒へ愛していなかったと告げるか、雪中の三歩一叩をするかの選択肢を与えた。
 傅恒夫妻が挨拶に来ても、瓔珞のことが気がかりで会おうとしなかった。そしてとうとう倒れてしまった瓔珞のもとに現れ、気を失った彼女を抱いて自ら養心殿に運び入れた。皇后から瓔珞を気に入っているのだろうと指摘されたことを思い出しつつ、李玉に“きれいにしろ”と命じた。

 


メモ

西湖
 杭州にある湖。中国国家AAAAA級旅行景区に指定され、世界遺産にも登録されている景勝地

 

「山寺の月中に桂子を尋ね~」
 白居易の『憶江南三首』という三つの詩のうち、其二の一節。山寺月中寻桂,郡亭枕上看潮头。白居易が江南を訪れたときのことを思い起こし、「山寺で中秋の桂の花を探し、郡亭(杭州城の東楼?)では寝台の上から潮頭(潮が満ちてくるときに立つ波)を見た」、いつまた訪れることができるだろうか?・・・という詩。純妃はつまり、幼い時に住んでいた杭州を思い出し、いつ帰れるだろうか(いや帰れない)という意味で引用した?

 

梅妃
 楊貴妃のライバルだったとされる妃。梅を好んで部屋の周りに植えていたので、梅妃と呼ばれるようになった。美しく、文芸にも長け、玄宗皇帝から愛されたが、大人しい性格だったために楊貴妃後宮に入ってくると寵愛を奪われてしまったという。

 

平復帖
 三国時代から西晋時代の武将・政治家だった陸機が書いたとされる書。陸機は幼いころから文学の才能があり、彼の詩や文章は高く評価されている。

 

千里の行も足下に始まる
 春秋戦国時代の哲学者・老子が書いたとされる書物『老子』が由来のことわざ。遠い旅路も足元の第一歩を踏み出すところからはじまる。どんなに大きな計画や事業も、身近なところからはじまるのだという意味。

 

紅布
 婚礼のときに花嫁が頭から被る赤い布は「紅蓋頭」と言い、無事に嫁入りができるようにという願掛けの意味で夫婦の部屋に入るまで顔を隠していた。

 

お菓子
 お菓子と訳されていたが餃子では? 饽饽boboはお菓子と言う意味のほかに、マントウとか「小麦でつくった塊状のもの」という意味。
 “餃子(饺子)”と“交子(子を授かる)”の発音が同じため、婚儀の際に食べて子宝に恵まれるように祈る。さらに“生(ナマ)”と“(子を)生む”が同じ漢字なので、わざと生煮えの餃子を花嫁に食べさせ、「生不生?(ナマ煮えですか?+子を生みますか?)」と尋ね、「生(ナマ煮えです+生みます)!」と答えさせるという風習もある。

 

三歩一
 「三歩歩いて一回土下座をする」という、敬意や敬虔さを表現するための行為。主に巡礼者が信仰心を示すために行う。