瓔珞迷<エイラク・ミイ>

瓔珞<エイラク>ファンの自己満足メモです。

『瓔珞』第30話・蝙蝠に襲われた宴

要点・見どころ

1.皇后のピンチ 2.嫻妃の躍進

あらすじ

前半・・・宴はおびただしい数の蝙蝠に襲われ、大混乱。その混乱に乗じ、高貴妃は皇后を高所から突き落とした。皇后は昏睡状態に陥り、お腹の子も危うい状態になってしまう。明玉から事情を聞いた瓔珞も急いで駆けつけたが、突然、かつての女官仲間たちに皇后への恨み言を吐いて、踵を返してしまう。追いかけてきた傅恒に対しても、苦役で傷だらけになった手を見せつけ、もはや皇后と自分の縁は切れたのだと告げる。しかし、袁春望はすべて瓔珞の策略だと勘づいていた。

後半・・・高貴妃は犯人だと疑われないよう、自らも怪我をして追及を逃れていた。そんなとき、瓔珞は自ら儲秀宮へ牛乳を運ぶ苦役を引き受ける。重たい牛乳をやっとの思いで運んできた瓔珞を見て、高貴妃はここぞとばかりに彼女を虐めた。そこへ偶然、乾隆帝がやってくる。乾隆帝は憔悴した瓔珞を見て事情を察したが、素直に彼女を救えなかった。そして、瓔珞はとうとう道端で倒れてしまう。嫻妃の慈悲でなんとか助かったが、袁春望はここでも瓔珞がなにかを企んでいると見抜き、無茶をした彼女を叱る。


登場人物

魏瓔珞
 夜更けまで仕事をしていたところ、慌てた様子でやってきた明玉を見つけた。事情を聞くと最初は明玉を叱ったが、すぐに冷静になって詳細を尋ね、高貴妃の仕業だと推理した。
 とにかく皇后を見舞うため長春宮へ急いだが、門のところまで来て突然、帰ろうとした。集まってきた珍珠たちに、皇后のせいでつらい思いをしているのだと恨み言を吐き捨て、長春宮から立ち去った。追いかけてきた傅恒に対しても同じような恨み節で、皇后は以前に鞭打たれる自分を無視したと訴え、もう縁は切れたのだと主張。さらに、しつこくすれば傅恒のことも嫌うと言い捨て、辛者庫へと戻った。翌朝、袁春望になにか企んでいるんだろうと言われると否定した。
 錦繍から儲秀宮へ牛乳を運ぶ仕事を押し付けられそうになると、むしろ自ら引き受けた。重い牛乳をなんとか運んだものの、高貴妃から牛乳を頭からかけられたり、手を踏まれるなどの仕打ちを受ける。睨みつけたものの抵抗はせず、乾隆帝がやってきても被害を訴えずに立ち去った。雨をしのぐため(?)御花園にいたところ、追いかけてきた乾隆帝に怒鳴られたが反論せず、投げつけられた傘も使わずに立ち去った。
 夜になり、仕事を終えて戻る途中、とうとう倒れてしまった。偶然、通りかかった嫻妃が侍医に診せてくれたため一命をとりとめ、袁春望に看病してもらった。その際に、何か企んで高貴妃にわざと虐められたのだろうと問われたが、否定した。

 

富察皇后
 宴で蝙蝠が襲ってくると逃げ惑い、混乱の中で高貴妃に突き落されてしまった。侍医たちが総出で治療に当たったが昏睡状態のまま、お腹の子も危うい状態に陥った。葉天士の鍼のおかげで一命はとりとめたが、意識を戻すすべはなく、目覚めるかは天のみぞ知るところとなった。

 

爾晴
 嗚咽を漏らす明玉に、もしも乾隆帝に泣いていることを気付かれれば、皇后を守れなかった責任を追及されてしまうと言って、部屋から連れ出した。

 

明玉
 皇后を連れて蝙蝠から逃げようとしたが、混乱の中で誰かに押し倒されて皇后を見失ってしまう。その間に皇后が転落したことがわかると、自分の責任だとして泣きじゃくった。爾晴によって部屋から出され、外で泣いていたところ海蘭察から「泣くよりも先に、するべきことをすべきだ」と諭され、瓔珞を呼んでくることを思いついた。急いで辛者庫へ向かって事情を説明し、ともに長春宮に戻ったが、彼女が突然態度を変えて皇后への恨み言を言い始めると、怒って追い返した。

 

傅恒
 宴での騒動のあと、長春宮に駆け付けて明玉に姉の容体を尋ね、深刻な状態だとわかるとすぐに葉天士を呼びに飛び出していった。葉天士を連れて戻ったところ、偶然にも瓔珞と鉢合わせ、彼女が見舞おうとせずに去ったのを見ると、慌てて追いかけた。主でなくなったとしても、字を教えてくれた恩師なのだから見舞うべきだと説得したが、しつこくするなら嫌いになると言われるとなにも言い返せなかった。
 宴の夜にだけ異常な数の蝙蝠が現れたことに疑問を持ち、海蘭察と相談した。皇后を最初に見つけたのが高貴妃だと知ると疑うも、証拠がないため追及もできず、腹いせに飛んできた蝙蝠の残党を真っ二つに切り裂いた。
 今まで清廉な君子を貫いてきたが、瓔珞の苦役を楽にするため、信念を曲げて劉女官に賄賂を渡した。

 

海蘭察
 傅恒を追いかけて長春宮に来たものの、彼がすぐに葉天士を呼びに行ってしまい、泣いている明玉とふたりきりになって気まずそうにした。たどたどしくも彼女を慰め、まずはするべきことをすべきだと諭した。それを聞いて明玉までも急いで立ち去ってしまい、ひとり取り残されて「ふたりともどうしたんだ」と首を傾げた(海蘭察がのんきすぎるだけでは……?)。
 宮中に残ってしまった蝙蝠を、他の侍衛たちと捕まえた。その際、傅恒から皇后が転落した経緯について聞かれ、蝙蝠のせいで明かりも消え、原因となった血豆腐をさげた女官も事故死しているため、真相は誰にもわからないと調査した結果を話した。

 

純妃
 宴では目の前で女官が欄干に頭を強打し、死んでしまうのを目撃して動けなくなってしまった(なにかトラウマがある?)。昏睡した皇后の側を離れようとしない乾隆帝に、休むよう勧めたが聞き入れられなかった。葉天士でも成す術がないとわかると大きなショックを受け、思わず部屋から立ち去った。出くわした傅恒にそれを説明し、彼が立ち去ろうとすると涙を流しながら呼び止めようとした。

 

嫻妃
 蝙蝠の襲来に気が付くと真っ先に皇太后を守り、冷静に対処した。皇后を見舞えずやきもきする皇太后に寄り添い、宴での勇敢な姿を褒められると謙遜した。皇后の代わりに後宮を取り仕切るように言われると、最初は純妃とともに努めると答えたが、信頼を勝ち得てひとりで担うこととなった。
 後日、再び皇太后のもとを訪れ、堀の運用について相談した。現状ほとんど捨てられている蓮根や菱の実を売って魚などの飼育費用に当てたり、畑を貸し出して収入を得ようとする提案だった。たまたま居合わせた高貴妃から、たいして稼げないのではと嫌味を言われると、具体的な数字を出しつつ、微力でも節約に努めれば民に前王朝とは違うというところを示すことができると説いた。
 道端で倒れた瓔珞を偶然にも見つけ、侍医に診せるように命令した。

 

太后
 もともと嫻妃のことは影が薄いと感じていたが、蝙蝠の件で評価を改めた。皇后が後宮を託したもうひとりの純妃は情けないとして、男のように勇敢な嫻妃に皇后の代理を任せることにした。
 高貴妃が半年も先の誕辰の話をすると、とても祝うような気持ちにはなれないと首を振った。そこへ嫻妃が来たと聞くと途端に明るい顔になり、彼女が発案した堀の運用の策を褒めた。

 

錦繍
 皇后が大変な状態になったにも関わらず、普段通りにしている瓔珞をからかった。威嚇されると思わず怯えたが、ちょうど劉女官から牛乳運びを命令されると、瓔珞に押し付けようとした。彼女が引き受けると、きっと高貴妃から歓迎されるだろうと嫌味を言った。
 瓔珞が憧れの袁春望に優しく看病されているのを盗み見て、嫉妬に顔を歪めた。

 

高貴妃
 宴での混乱に乗じ、皇后を突き落した。その犯行を隠すため、自分の肩を柱に打ち付け脱臼したうえで、自ら皇后が転落したと叫んで助けを呼んだ。苦肉の策だったが普段は髪の毛を抜く痛みすら耐えられないほどで、脱臼の整復では悲鳴を上げた。
 美容のために牛乳風呂に入ろうとしたところ、恨みのある瓔珞が牛乳を運んできたため、ここぞとばかしに憂さ晴らしをした。しかし突然、乾隆帝がやってくると慌ててしおらしい態度をとって、瓔珞が牛乳をこぼしたのだと取り繕った。
 皇太后のもとを訪れ、誕辰の祝宴を盛大に行うことを提案した。皇后が重体だから祝う気になれないと暗い顔をする皇太后を、今だからこそだと説得した。そこへ嫻妃がやってきて、すっかり皇太后に気に入られている様子を見て嫉妬した。

 

舒貴人
 高貴妃が脱臼の治療を受ける場に立ち合い、なぜ怪我を負う必要があったのか尋ねた。自分を犠牲にしてでも皇后を陥れようとしたのだと知ると、顔をひきつらせた(ドン引きしてる?w)。

 

乾隆帝
 昏睡する皇后のそばで、食事もとろうとせず項垂れた(自分の代理で宴に参加させたことを後悔?)。
 怪我をした高貴妃を見舞うため、前触れなく儲秀宮を訪れた。しかしそこで憔悴し、手に怪我を負った瓔珞とすれ違うと動揺し、見舞いの品だけ置いて瓔珞を追いかけた。大雨のなかでうずくまる姿を見つけると、哀れなフリをするなと怒鳴ったが、乱暴に投げつけるようにではあるが自分の傘を彼女に貸した。その後一度、養心殿に帰るも忍びなかったのか再び瓔珞の元へ向かい、置き去りにされた傘を見つけた。せめてもの思いで、高貴妃の牛乳の浪費を取り締まるため、妃嬪たちには位によって分け与えるようにと命令を下した。

 

李玉
 大雨の中で歩きまわる乾隆帝に必死についていき、傘をさしかけ続けた。瓔珞が傘を置き去りにしたのを見て、皇帝の傘を瓔珞のような奴婢が使えば大騒ぎになってしまうため使えるはずもないと説明した。

 

袁春望
 瓔珞が明玉に連れ出される様子を陰から盗み見ていた。そして長春宮で騒ぎを起こしたと知ると、なにか企んでいるのだろうと推察した。その後、瓔珞が風邪をこじらせて倒れると手厚く看病し、儲秀宮へ乗り込んだのも策略のためだろうと問いかけた。


メモ


 専用の鍼を体の特定の場所に刺すなどして、筋肉をほぐしたり血流を良くする治療法。中国の石器時代に発明された。中国ではとくに“経穴”と呼ばれる、いわゆるツボを鍼で刺激することで体内の気の流れを改善すると言われている。

 

牛乳
 もともと中国は農耕民族の国だったので、牛は田畑を耕すための家畜であって、乳を搾って人間が飲むという文化はなかった。ただ、満州族はもともと遊牧民だったので清朝では、特に宮廷では飲んでいた可能性がある?
 西太后は健康や美容のため牛乳を飲み、さらには顔を洗ったり沐浴にも使っていたという。100年も前になるが、高貴妃も牛乳風呂に入っていたかも???

 

菱の実
 池や沼に自生する植物の果実(種?)。秋になると実り、茹でたり蒸したりして食べる。

 

堀の運用
 康熙16年かどうかはわからないが、康熙帝の時代に内務府が紫禁城でレンコンを栽培し、宮中で食べたり余ったものは売っていたらしい。また、その畑を貸し出して、土地代を収入源のひとつにしていたという。これをつまり『瓔珞』では、嫻妃が考え出したものとした?

 

千金の裘は一狐の腋に非ず(せんきんのきゅうはいっこのえきにあらず)
 高価な皮衣は、一匹の狐の腋毛だけではつくれない。つまり、国を治めるためには多くの人材が必要だというたとえ。由来は『史記』。

 

典当舗
 質屋。

 

官荘
 =荘園? 簡単に言えば、国が所有して民間に貸し出した土地のこと?。前王朝の官有地(政府が所有した土地)や、戦乱によって荒れ果てた土地を国が所有し、それを民間に貸し出して、生産したものや税金を宮廷に納めさせた。

 

畝(ほ)
 中国の伝統的な単位。15畝が1ヘクタール。